アメリカでは、年に2回歯科検査と歯科クリーニングに行くことが慣習となっています。でも、日本では、一般的に歯にむし歯ができたことに気がついたり歯が痛くなったら近所の歯医者に行き、大抵の場合は問題を処置してくれますので、歯科というのは1科目と思っている方が多いかもしれません。しかしアメリカでは医療のシステムと同じように様々な専門医に分かれています。そこで、以下に一般歯科医と5種類の専門歯科医についてその違いと専門分野についてご紹介したいと思います。

一般歯科医

  アメリカの医療では、医師の診察を受けるときはまず一般医を受診し、その診断にもとづいて専門医のもとへ行くシステムになっています。
歯科医療でも、これは同様です。年に2回の検査とクリーニングは一般歯科に行ってしてもらい、むし歯ができたり歯周病になったりしても初期のうちに発見することができるので一般歯科で大抵治療することができます。一般歯科でも抜歯、神経治療、歯周病治療ができますし、最近では特別なトレーニングを受けて一般歯科医も歯科矯正やインプラントができるようになってきています。
 一般歯科でも、子供だけを専門に見る小児歯科医もあります。小児歯科医院は子供向けに絵本やおもちゃ、子供向けのビデオなどがあり、歯科医やアシスタントは子供たちになれているので、アメリカでは子供が小さいときは、親とは別の歯科医に親が連れて行くことがよくあります。

専門歯科医の種類

米国歯科医師会によると以下にご紹介する歯科の専門医はアメリカの歯科医の約20%を占めているそうです。

  1. 歯内療法科医(Endodontists)

    歯内療法科医は歯髄の治療を専門に行います。一般的には、神経治療といわれている歯の神経をとる治療(歯内治療)です。歯の内部は歯根管と呼ばれる空洞になっています。この中は歯髄と呼ばれる軟組織で、血管、神経、結合組織から成り立っており、歯冠から歯根の先まで広がっています。歯髄は歯ができかかっている時期には大変大切なものですが、いったん歯が生えてしまうと、歯は歯髄がなくても生きていけます。このように歯の内部の歯髄、根幹、歯根尖(歯根の先の骨に囲まれている部分)周囲の病気を治療することを歯内治療と呼んでいます。

  2. 歯周病科医(Periodontists)

    歯周病科は歯を支えている組織である歯肉と歯槽骨に関する疾患を治療する歯科です。一般的に歯周病と呼ばれているこれらの疾患は歯を顎骨の中に保っている歯肉、歯槽骨、その他の組織が細菌に感染して起こる病気です。細菌はプラークと呼ばれる無色でねばねばした、歯の表面に膜を作るものの中にいます。このプラークは毎日の歯ブラシとデンタルフロスで除去できますが、そのままにしておくと石灰化して硬くなり歯石になります。 この歯石は毒素を作り、それが歯肉の炎症の原因になります。痛みがないからといってこの炎症を放っておくと歯肉と歯槽骨の組織を破壊してしまい、元に戻らなくなってしまいます。
    歯肉炎や歯周病の初期の場合は一般歯科で治療ができることが多いのですが、歯周病がそれ以上進行してしまうと歯周病科医に治療をしてもらう必要が出てきます。その場合、スケーリング、ルートプレーニングという手術をしないでする歯石除去治療と、さらに症状が進行すると手術で歯肉を切って歯石除去をする治療があります。さらに最近は歯周病科医が骨の移植やインプラントをするケースも増えてきています。

  3. 矯正歯科医(Orthodontists)

    歯科矯正医はかみ合わせ、歯並びなどの顔面構造の管理、誘導、矯正に関する治療をする専門医です。アメリカでは、永久歯はすべて生えそろうと歯並びを治すために歯科矯正をする子供たちが大変たくさんいます。日本でも最近は歯科矯正が受け入れられてきているようですが、歯科矯正がそれほど進んでいない日本人からすると、歯並びが悪くカッコが悪いから子供のころからすると思われがちですが、歯並びを治す理由は他にもあります。見栄えを良くするだけでなく歯並びをよくすることによって噛み合わせを治し食べ物を良く噛めるようになったり、歯がきれいに並んでいると歯磨きも楽になり、むし歯や歯肉炎、歯周病になりにくくなります。これらの利点が得られるため、最近アメリカでは歯科矯正をする患者さんの約40%が成人だそうです。
    歯科矯正は一般的に歯に小さな金具(ブラケット)をつけてそこにワイヤーを取り付けて歯を動かします。それ以外に最近では、透明の薄いプラスチックでできたマウスピースをつけて歯を動かす方法もあり、矯正をしていることがあまり目立たないので、この方法は成人に人気があります。

  4. 口腔外科医(Oral Surgeons)

    口腔外科医は抜歯やインプラントをはじめ顔面や顎に関する病気の診断と手術を行う専門医です。アメリカでは、親知らずが生えてくると問題が出る前に抜いてしまうことが多く、その場合口腔外科医に紹介され、一度に全部抜歯してもらいます。口腔外科医は麻酔についても十分な訓練を受けていますので、局部麻酔だけでなく静脈麻酔を使って抜歯をしてもらうことができます。静脈麻酔は点滴から鎮静剤を注入し寝ているような状態になり、治療の感触や音などから来る不安や恐れを感じることなく治療を受けることができます。 最近は抜けてしまった歯を人工歯根により再生するインプラントが頻繁に行われるようになり、口腔外科医がインプラントをするケースが増えてきています。その場合、必要に応じて歯槽骨の移植も口腔外科医によって行われます。
    その他、口腔外科医は上下顎骨の治療や軟組織の治療、顔面の病気、外傷の治療、先天的疾患の手術や治療を行います。

  5. 補綴歯科医(Prosthodontists)

    補綴(ほてつ)歯科とは、歯や顎が欠けたり失われた場合に、冠、クラウン、入れ歯(義歯)やインプラントなどの人工物で補うことをいいます。補綴歯科医は新しい材料や治療技術を研究しその治療によって噛める、しゃべる、飲み込むといった機能の回復と見た目の自然観を回復することで、健康が維持されることを目指しています。口腔外科医と共同で欠損した顔、口腔の一部などの顎顔面補綴を行うこともあります。



【執筆】 植月歯科医院
植月 ジョン

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